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リプレイ・山の遺跡にて 前編

 今回参加しているPC(プレイヤー・キャラクター)はヴァトルダー、フィップ、ダルスの3名で、パーティにはさらにNPCとしてセダル、リーハ、ソローの3名を参加させている。
 NPCの人選がこうなってしまった背景にはいろいろな思惑があったのだが、大きいのは2つ。1つは『マンネリ打破』(これは「ストーリーの」という意味でなく、TRPGのプレイ自体の話だ)、もう1つは『回復アイテムと化しているローゼンを、NPCとして出すのが忍びないから』である(笑)。ローゼンは元々作者のPCだからして、作者がマスターをする時には必然的にNPC化してしまっていたのだな。NPCの僧侶が回復アイテムとなってしまうのは半ば必然だが、元プレイヤーとしてはなかなか複雑な心境になるわけである。
 そういうわけでご登場願ったセダル達3人。小説ではヴァトルダー達に負けず劣らずの活躍をしている彼らだが、実際のプレイではほとんど出番がなかったりする。人並みの活躍をしていたのはティグぐらいのもんじゃなかろうか(笑)。
 さて、彼らNPC……もとい、ヴァトルダー達がどんな活躍をしてくれるのか。前置きはこのくらいにして、本編に入ろう。どうぞお楽しみあれ。



GM 君たちは今、オランの北方にあるエストン山脈へ来ている。ここは『常緑の山脈』と……
ヴァトルダー もう既に来てるの? 俺たち。
GM ちったぁ人の説明を聞けい(苦笑)。
ヴァトルダー はいはい(笑)。
GM コホン。ここは『常緑の山脈』と呼ばれていて、なだらかな山が続いているんだ。山奥にはエルフの村なんかもあるんだけど、それは本筋と全然関係ないんで置いておく。そういうところへなぜ来たか──といえば、当然仕事だな。
ダルス 何の仕事ぢゃろう?
GM 平ったく言えばモンスター退治だね。
ダルス ほう。
GM 冒険者の店に来た依頼を、依頼人がやたら美人だった、という理由で、勝手にヴァトルダーが受けてしまったわけだ。
ヴァトルダー うそぉ(爆笑)。
GM いや、嘘じゃない(笑)。
ダルス 女の色香に惑わされおって。
GM 場所も依頼料も聞かずに、な。
ヴァトルダー ……いや、確かに俺、そういう状況だったら間髪入れずに引き受けるけど(爆笑)、なんか端折られたなぁと思ってなあ(笑)。
ダルス して、その依頼料は幾らだったのぢゃ?
GM え〜と、確か全部で2000ガメルかな。
ダルス へ?
フィップ 間髪入れずに……引き受けてるね(笑)。
ヴァトルダー 間違いない。そりゃ女の色香に迷ってるわ、俺(笑)。
ダルス ……ひょっとして何のモンスターかすらも聞いてない?
GM 一応道すがら聞くけどね。……その前に、依頼人の名前はエリー。さっきも言った通り、女の人だ。エストン山脈の、これは麓近くにある名前もないような小さな村の人間だね。
ヴァトルダー え、ちょっと待って。今は女の人の出身地に行ってんの?
GM そうそう。
フィップ あの〜、そのモンスターってのは棘が生えてたり火を吐いたりする奴じゃないですよね?
ダルス 火を吹くのか?(なんか嬉しそう)
GM (とりあえず無視して)確認しておくけど、今来ているのはヴァトルダー、ダルス、フィップ。それから……(とキャラクターシートを取り出す)。
一同 ちょっと待て、なんでそいつらが一緒にいるんだ?(笑)
GM (再び無視して)え〜、ソロー、セダル、リーハ……と。
ヴァトルダー (改めて)なんでだ?
フィップ 暇持て余してるね、こいつら(笑)。
GM うん。ソローはピクニックのノリ(笑)。リーハは……これは、ティグからのお目付役として(笑)。
ヴァトルダー なんで? なんで「お目」付けられるの、俺ら(笑)。
フィップ そりゃ〜、仮面被って電波に呼ばれて……
GM そういう、危ない発言はやめような(苦笑)。
 でセダルは、「リーハの側に野獣を置くと取り返しのつかんことになる」とか言って……まあ結局はこれも建前で、三人ともピクニックのノリと(笑)。
ヴァトルダー はい(←納得するなよ)。
GM では、改めて依頼内容を説明しようか。村の近くに恐ろしいモンスターがいる。だからそれを退治してくれ、と。
ダルス まさか『ゴ』がついて『ブ』がつくんじゃないぢゃろうな?
GM (ぎく)じゃあモンスターの特長を行く途中で聞くから、セージ+知力でロールしてもらおうか。
ヴァトルダー イエッサー、任しておくんなせぇ。セージと言えば俺だけだぜ!
ダルス いや……
ヴァトルダー ……あ、そんなわけないか(笑)。

 当たり前だ。

ダルス 別に好き好んで取ったわけじゃないんぢゃが(←彼の持つセージ技能1レベルは、ソーサラー技能のおまけである)。(コロコロ)あ、これじゃゴブリンもわからんかも知れんのぅ。
ヴァトルダー (全員の達成値を見て)やっぱり俺が一番じゃねえか(笑)。
GM それじゃ全員わかったね。
ダルス あ゛?
GM なんとなくゴブリンぽいかな、と(笑)。
フィップ もう何度も見てるから、セージ技能チェックする覚えないんだけど(笑)。
ヴァトルダー マジでゴブリン?
GM いや、感じとしてはゴブリンぽいかな、というだけの話。実際には見てないから何とも言えないけどね。
ヴァトルダー なんでそんなもんのために、俺らわざわざ出向いて来たんだ?(苦笑)
ダルス 名もなき村に2000ガメルは大金だったぢゃろうに。
GM 確かに大金だね。ただ、もともとお金はそんなに使わないからねえ。基本的に自給自足できるから。
ダルス 慈善事業ぢゃもんなぁ、最近。
GM え〜、というわけで目的地の村に到着した。時刻は夕方。エリーの案内で、君たちは村長の家に案内される。で、彼女はお辞儀をして自分の家に去っていくと。
 ここからは村長さんの話だ。
ヴァトルダー ちょっと待て。俺、色香に迷って来たのに、離されるのか? 何のためにここまで来たのかわからんじゃないか、おい(笑)。
ダルス そりゃ〜……餌ぢゃろう(笑)。
ヴァトルダー どこに行くんだ、おい。
GM だから自分の家と言ったじゃないか(苦笑)。
ヴァトルダー いや〜、いや〜〜(悲鳴)。
ダルス 釣った魚に餌はやらん。
GM で、出てきたのは爺さんと。
ダルス いや、婆さんぢゃろ、ここは(笑)。
ヴァトルダー ひゅ〜(涙)。
GM 婆さん、そりゃいいねえ……でも設定が爺さんになってるからなあ(苦笑)。
ダルス ちっ(笑)。
ヴァトルダー も、もう既に俺の耳には何も入ってこない(笑)。
GM(村長) 婆さんを差し出しますからどうか……。
ヴァトルダー いや、差し出さなくていい。は〜、やだやだ(笑)。
GM 冗談はここら辺にしておいて、そろそろ説明を始めよう。

 村長の話によればこうだ。村から少し離れたところにカストゥール王国時代の古い遺跡があるのだが、そこから恐ろしい魔物の声が聞こえてくるという。
 もともと村には『近くには魔物が住んでいる』という伝説があった。しかし所詮は伝説は伝説、村に信じる者はいなかった。せいぜいが、聞き分けのない子供に語られるくらいのものだ(笑)。
 それが現実に変わったのは20年ほど前のことで、子供が魔物に襲われ、喰い殺されるという事件が起こった。村は冒険者にその魔物の退治を依頼するも、圧倒的な魔物の力の前に彼らは歯が立たず、結局魔物もろとも遺跡を『封印』することで、冒険者の一団は村を守ったのだった。この時の生存者は魔術師がただ一人だったという。
 そして一年ほど前。村は再び、魔物の陰に脅えるようになった。夜な夜な遺跡からは魔物の咆哮が聞こえ、そして時には家畜が姿を消すこともあった……。

GM(村長) というわけで、このままでは封印も解けてしまうのではないかと思い……
ヴァトルダー っていうか、もう解けてるんだろ、それ(笑)。
ダルス そうは考えないのが、村人というものではなかろうか。
GM(村長) で、孫娘のエリー──さっきの彼女──に頼んで、冒険者の方を漁り……じゃない(苦笑)、募りに行かせたわけじゃ。
フィップ ちょっと本音が(笑)。
ヴァトルダー いくらでも漁られて上げましょう(笑)。
ダルス 金はいらん、娘をよこせ(笑)。
GM よくある話だな(苦笑)。で、『詳しいことは、遺跡の前に石碑が建てられているんでそこを見てくれ』と村長。
ダルス 一つききたいんだが、近寄ったらやばいんじゃないのか?(笑)
GM(村長) (真顔で)いや、あれは封印されておるから。
ダルス ……まぁいいか(苦笑)。
GM その石碑に何か書いてあるのはわかるんだけど、爺さん達村人には読めないんだね、これが。爺さんが言うには、『そこにはきっと封印の呪文か何かが書かれておるはずじゃ』だそうだ。
 ま、話はこんなもんだね。『今夜はゆっくり休まれるがよい』と言って、その夜は更けていく。
 では、夜中だ。レンジャーないしシーフ技能と知力で判定してもらおっかな。
ヴァトルダー イエッサー。

 この判定、プレイヤーはことごとく成功したのだが……

GM こっちは、と……あ゛(汗)。
フィップ (サイコロの目を見て)お、終わってる……。
GM ……(気を取り直して)え〜、セダルとリーハはぐ〜すかぴ〜すか寝ている(苦笑)。
ヴァトルダー まさかソローは成功した?
GM うむ(苦笑)。
ダルス 役立たず〜!(笑)
GM では、成功した人の耳には、動物か魔物か何かの雄叫びのようなものが聞こえてくる。で、再度ロールしてもらえるかな。セージと知力だ。
ダルス それは厳しいのう。
GM (達成値を聞いて)全員成功だな。これはやっぱり昔聞いたゴブリンの声かな、と思った。
ヴァトルダー えっと……あとは任せた(笑)。
ダルス (フィップのキャラクター・シートを覗き込んで)頑張れゴブリン語、喋れるんぢゃろうゴブリン語!(笑) 喋るんぢゃ!!(爆笑)
GM え〜、その夜は咆哮以外は何も起こらない。
ヴァトルダー 俺、思うんだけど、ソロー一人で行かせてもたぶん退治できると思うんだ(笑)。
GM それはあまりと言えばあまりのお言葉(苦笑)。
 というわけで、翌朝を迎えた。ま、睡眠は取れてるだろ。
ダルス というかゴブリンと聞いた瞬間、熟睡してますんで(笑)。
GM それでは朝食を出されて、しばらくしてから村長さんに遺跡の方へ案内してもらえる。
ヴァトルダー ていうか……もういいや、この仕事(笑)。
ダルス しかしワシとしては、封印というものに多少興味が……。
GM では、入り口の方を説明しよう。何か金属でできた扉だね。何でできているかはわからない。
ダルス ま、まさか……まさか封印って……(笑)。
GM (黙殺)で、横に石碑がある。これは……コモンだから、みんなは読める。しかし村人の方は読み書きのできる人間が少ないし、そもそも東方語しかわからないから、これは読めないわけだ。

 書かれてあった文章は以下の通りである。
『仲間達よ、すまない! 私には、お前達の骨を拾ってやることすらできない。
 私はこの遺跡を封印する。すまない。だが、あの恐ろしい魔物を世に出すわけにはいかないのだ! 許してくれ……。
 最後に、この遺跡を訪れる者に厳命する。好奇心で封印を解いてはならない! 悲劇は、二度繰り返す必要などないのだから……』

GM それから下の方に、この石碑を建てたと思われる人の名前が書いてある。『フォル・クレイン』。
ヴァトルダー ほほう。
GM ……こら待て、それで終わりかい(苦笑)。
ダルス いや、別にこう、何も目新しいものはなかったのう、うん(笑)。
ヴァトルダー さ、帰ろうか(笑)。

 むう。悪党フォルの持つ一面(過去)を見せて意外性を出そうと思ったのだが、こうもあっさり無視されてしまうとは。名前が出ても何の感慨もなし……所詮は三流悪役ってことか(苦笑)。

ダルス 扉に魔法がかかっているかどうか……センス・オーラは確か……
フィップ センス・マジック使いましょうよ(苦笑)
ダルス あ、オーラじゃない〜、オーラじゃない〜。
GM センス・マジックは精神力1消費でいけるな。
ダルス ちっ、使えるのはワシだけか(苦笑)。
GM うむ(笑)。じゃ、成功判定して。
ダルス 仕方あるまい。(コロコロ)お約束はないね(笑)。
GM 扉のところがペカーッと光ってるね。
ダルス さすがに種類まではわからないんだっけ?
GM それはわからない。はい、それじゃここからはご自由に行動してくれ。
ヴァトルダー 帰ろうぜ(笑)。もういいじゃん、別に(爆笑)。
ダルス 戸は傷んだりしていないのか?
GM 全然傷も入ってない。
フィップ さっきのゴブリンの声、どう考えてもこの中から聞こえてきたとは思えないなあ。
ヴァトルダー う〜ん。でもこれ、開いた形跡は……
GM ない(きっぱり)。もちろん、相当昔に開け閉めした痕跡はあるけどね。
ヴァトルダー ……先生、呪文を一発お願いします(笑)。
ダルス いやいや、こう引っ張ったら、それだけで「ぐい〜っ」と開きそうな気が(笑)。
フィップ とりあえず、原始的な手法で開けてみない?
ヴァトルダー じゃあお願いします。(周囲の視線を一身に受けて)……え、私?(笑)
ダルス うむ、該当者はお前だけぢゃ(笑)。
ヴァトルダー ……リーハさん、後ろで回復の用意しといて下さい。
GM 彼女は突っ立ってるだけだ(笑)。
ヴァトルダー (首を傾げて)あれ、この人はもしかして、俺が死んでもすぐに生き返らせられるのか?
GM 無理無理。リーハさんはローゼン並。
ヴァトルダー ……嘘ぉ、(ローゼンの能力って)そんなにあったっけ?
フィップ 既に追いつかれたんだって(笑)。

 昔はリーハの方が遙かに上だったため「リーハ>ローゼン」の構図が頭に定着しているのである。しかしPCは成長するもの、今やリーハとローゼンの(神官としての)腕はほぼ互角だ。

GM だから、死ななければすぐに回復するけど、死んだら終わり。
ダルス (生き返らせられる司祭のいる)町へ着く頃には、立派な腐乱死体のできあがりぢゃ(笑)。
ヴァトルダー ……(気を取り直して)では、扉を引っ張ります。
GM (首を振り振り)
ヴァトルダー 押します。
GM 動きませんな。
ヴァトルダー 横に……
GM やっぱり動かない。
ヴァトルダー 蹴ります。
GM け、蹴る? 足が痛いよ(笑)。
ヴァトルダー ぐおっ。……叩き壊します!
GM 剣で? じゃあダメージ決めて。
ヴァトルダー だ、ダメージ?
GM まさか叩かれるとは思わなかったな(笑)。
フィップ 電波に呼ばれてるなあ(笑)。
ヴァトルダー (コロコロ)14点。
GM カキンと跳ね返った。
ヴァトルダー (くるりと向き直って)駄目だ。
フィップ いや、今更言わなくてもわかってるけど(笑)。押しても引いても駄目だった時点で。
ヴァトルダー ここは一発<アンロック>でしょう。
フィップ なんか、他に入り口があったりしそうな気がして仕方がないんだけど……(笑)。
ヴァトルダー もう素直に行こう(笑)。どうぞ。
ダルス (コロコロ)16ぢゃ。
GM それは……開きません。
ダルス ☆■△〜!(文字に表せない奇声を発した)
ヴァトルダー 生意気な。
GM かけられたのは20年前とわかっているからね。古代にかけられたやつ(非解除の魔法)と違って、どうしても解けないというやつじゃないよ。
ヴァトルダー ……ちゃんと封印されたままだから大丈夫だ、村長さん。
GM(村長) と、とんでもない。もうすぐ解けるんじゃ!
ヴァトルダー しかし俺たちがやって解けないんだから……
GM(村長) 怖いのか?
ヴァトルダー (ピクン)……それは俺に対する挑戦か?
GM(村長) (ヴァトルダーの目に怯えて)いやいや、滅相も……
フィップ うん(笑)。
ヴァトルダー 俺には、『貴様ら全員を皆殺しにして、娘さん(エリー)だけをかっさらう』という選択肢も残っているんだぞ?
フィップ どっからそんな話が出てきた(爆笑)。
ヴァトルダー 俺の本能がそう告げてるから(笑)。こればっかりはなあ。
ダルス (扉は)わしに対する挑戦ぢゃな。アンロックってもう一度かけられたっけ?
GM 大丈夫だよ。
ダルス う〜ん……達成値を上げるとなあ……いいや。3倍消費、達成値+2。(コロコロ)……ああああ〜、17(汗)。
GM それは無理でした。
ダルス む〜ん……仕方がない、4倍消費ぢゃ。(コロコロ)……うぐわっ。なぜぢゃ、なぜ開かんのぢゃ、わしの修行が足りんのか〜!(絶叫)
ヴァトルダー うむ、まだまだよのう(←お前もな(笑))。
ダルス ……一つ提案がある。
ヴァトルダー 何だ?
ダルス 次で駄目だったら、また日を改めよう(爆笑)。
ヴァトルダー そ、そういう問題だったのか(笑)。
ダルス わしはもう疲れた。
GM 扉と睨み合っているだけで、息を切らしとるな(笑)。
ダルス うりゃあ!(コロコロ) ……よっしゃあ、21!
GM それは開きましたね。
ダルス むむ……一番開いてほしくないタイミングで開いてしまった(笑)。GM、今何時ぢゃ?
GM 朝だな。
ダルス よし、寝よう(笑)。
GM(村長) その間に魔物が出てきたらどうするんじゃ?!
ダルス 大丈夫。そのために主らがおるんぢゃ(爆笑)。
ヴァトルダー 冗談はおいといて、開けよう。
GM うむ。中は煙っぽい。
ヴァトルダー 『埃っぽい』とは言わんのか?

 あ。

GM ……そうとも言うな(笑)。
ヴァトルダー 良かった、何か怪しげな儀式でもされてるのかと思ったぞ(笑)。
ダルス わしはいぶり出しでもされるのかと思った(笑)。
GM 入ったらいきなり階段。その先は見えない。はい、並びを決めて。
フィップ ヴァトルダーが先頭。あとは皆後ろ。で、中から悲鳴が聞こえたら閉める。
ダルス うむ、わしが全力をもってロックしよう(笑)。
フィップ その悲鳴がモンスターのものかどうかは考えない(笑)。
ヴァトルダー いやいやいや〜。この程度の仲だとわかってはいたんだけど。こう面と向かって言われるとな〜(笑)。
GM(村長) わしらはそれでも一向に構わんが。要はモンスターさえ出てこなければよいのじゃ。
フィップ じゃ、そういうことで(笑)。
GM ……で、全然問題は解決していないんだが(苦笑)。隊列を決めてくれ。

 話し合いの結果、ヴァトルダーが先頭で、以下リーハ、セダル、ソロー、ダルス、フィップとなった。

ヴァトルダー コモン(・ルーン)の<ライト>を使って、と。階段を降りていくぞ。
GM うむ。では、何かの雄叫びが聞こえてくる。夜中に聞いたのと一緒だな。セダルとリーハは初めて聞く声だが(笑)。
ヴァトルダー なんでこんなところからの声が、外に聞こえてくるんだ?
フィップ 空気穴があるとか。
ヴァトルダー う〜ん……違うような気がするんだけどなあ。
GM そのまま降りていくと、今度は『上方の階段に向かって手をかけた白骨死体』に出くわした。装備から察するに戦士だな。
ダルス 哀れぢゃな……。
GM セダル曰く、『妙なオーラはかかっていない』。ではここで、セージ+知力で判定して。
ダルス 16。
フィップ 18。
GM 十分過ぎる達成値だな。その白骨だが、骨の何カ所かが砕け散っている。よっぽど力のある何かに叩かれたかな、といった感じだ。
フィップ ああ、カルシウムを取らないから……(笑)。
GM さて、地下1階だ。5メートルぐらいまっすぐな道が続いたあと、十字路になっている。
ヴァトルダー よし、『右手法』だ。まず右から。
フィップ まんべんなく回るつもり?(笑)
GM 少し行くと扉があるぞ。
ヴァトルダー フィップ〜。
フィップ 減るからイヤ。
ヴァトルダー ……え〜と……リーハさんに助けてもらいます(笑)。
GM 罠というものを知らんのか、お前らは(苦笑)。
ヴァトルダー 俺は知らない(笑)。
GM ……別に罠は何もない。中は部屋だ。箱が何個か転がっている。室内に悪臭が立ちこめているぞ。
ダルス 食料庫か?

 ヴァトルダー達は何の躊躇もなく箱を開け、さらなる悪臭に包まれた(笑)。中身は食料、正解である。
 一行は引き返し、今度は(元の道からして)直進。

GM 20メートル先に、再び十字路だ。
ヴァトルダー え〜と……正面から行こうか。後ろでフィップがぶつぶつ言っているのが気になる(笑)。
GM では、降り階段がある。
ヴァトルダー は〜い、降ります。
GM 階段を降りきったところで部屋に出た。扉はあったが、開けっ放しになっていた。さて、部屋の中に足を踏み入れたのは誰だ?
ヴァトルダー そりゃあ……俺だけかな?
GM 部屋の中だが、本棚が横倒しになっている。それから白骨死体が何体か、本棚の上に覆い被さっている。──と説明したところで、ヴァトルダー、セージ判定。
ヴァトルダー む……8だ。
GM では、ヴァトルダーの目には白骨死体が『何かに食い散らかされた』ように見えた。(骨の)パーツがあちこちに飛び散っている。
ヴァトルダー 人を喰う生き物か? (一瞬考えて)帰ろう。
ダルス いきなり帰ろうと言われても、わしには何のことかわからんぞ(笑)。
GM(セダル) 早く行け〜!
ヴァトルダー 戻れ戻れ〜。行き止まりだ(←嘘つき)。
GM 2番手はリーハさんだっけ? じゃあ、ヴァトルダーはリーハさんに蹴られた(笑)。で、後ろがぞろぞろと入っていくわけだな。
ダルス こ、これは本の山ぢゃ〜! と一応驚いておいて、獣か何かの足跡はないのか?
GM 埃の積もり具合で、だな。じゃあ判定して。
ダルス ……むう。9ぢゃ。
GM 9? 9じゃちょっとわからないな。
ヴァトルダー 俺は獣だけが目的なんで、こんな何もない部屋はどうでもいい。
フィップ 獣だけが目的? け、けだもの〜!
ヴァトルダー けだもの? (平然と)それは俺だ。

 自分で言うなよ(笑)。

ダルス ……まあ、真理かもしれんな。
GM それでだ。部屋の一部分だけは、埃が散っているんだが?
フィップ いかにも何かありげだね(笑)。じゃあ、そこら辺の壁を調べてみよう。……うっ、(シーフ+知力で)12。
GM (げっ)コンコン……しーん。
ヴァトルダー しょうがない。上へ登るぞ。

 だああ、よりによって3を振るかよ。仕方ない、再チャレンジを待つとしよう。
 再度上の階へ戻った一行は、『2つ目の十字路』を左へ。しかしその先は通路が崩れており、行き止まりだった。
 続いて『2つ目の十字路』を右へ折れる。そこには、最初に入った部屋の4、5倍はあろうかという巨大な部屋があった。

GM 檻が10個ほど並んでいる。そのうち7つの檻は、鉄棒が歪んでしまっているな。
ヴァトルダー それ、どういう感じで?
GM 無理矢理力で押し広げたような感じ。中から広げたのか外からなのか、それはわからない。
ダルス むう……獣の仕業か……。
GM それと、歪んでいない檻の中では、コボルトなんかの弱小モンスターが死んでいる。
フィップ その死体に爪痕とかは?
GM ないよ。見るからに「衰弱死」だ。

 部屋の中を必死に探しても、それ以上の手がかりは見つからなかった。

ヴァトルダー こうなると、あの露骨に怪しかった場所を調べ直すしかないな。
ダルス うむ。全員総掛かりで探すしかあるまい。

 というわけで、NPCをも巻き込んで総出で部屋の隅を再調査。結果、どうにか一行は隠し扉を越えることができたのだった(やれやれ)。

GM 隠し扉を越えて少し行ったところで、シーフ+知力でロールだ。結果は? ……フィップが成功してるな。では、進行方向に向かって左の壁に、また隠し扉を見付けた。大きさは人間一人分だな。
フィップ じゃ、そういうことで頑張って。
ヴァトルダー え? 罠……
フィップ 大丈夫。生きてれば、リーハさんが回復してくれるから(笑)。
ヴァトルダー ……ライトを翳して、進む。
GM (ぞんざいな扱いにすっかり慣らされておるな)しばらく進むと、これまた隠──されてないな、こっちからだと(笑)。とにかく扉があった。
ヴァトルダー もちろん開ける。
GM では、部屋に出た。向かって右側の壁に扉が見えている。それからこいつがメインだが、中には3匹の犬がいるぞ。
ダルス はあ?!
GM 犬だ、い・ぬ。セージ判定の必要もないぞ、正真正銘ただの犬だからな(笑)。
フィップ ああっ、ポチ!(笑)
ダルス なんでそんなものがここに……
フィップ はっ! さてはゴブリンの愛玩動物?!(笑)

 飼い主がゴブリンかどうかはさておき、実はその通りだったりする(笑)。
 もしここで勢いに任せて犬を殺したりしたら、リーハやソローに嫌われて、ついでに敵も激昂するってぇ寸法だ。この連中(というかヴァトルダー)のいつものパターンだと、こうなる可能性大だな(にやっ)。

GM 1匹は、他の2匹に比べて小さい。たぶん親子だろうな、と想像がつく。大きい方のうちの1匹は、吼えながら君らに襲いかかろうとしているぞ。もう1匹は小さいのを守って、これまたワンワン吼えている。
ヴァトルダー う〜ん……このまま向こうの扉まで通してくれるってことは……
GM なさそうだね(さあ、早う来い。お前の点数を下げてやる)。
ダルス なら、スリープ・クラウドぢゃな。

 ……ぐ、ぐはあ。ヴァトルダーの暴走に気を回しすぎて、ダルスの魔法なんざ全然考えに入れてなかった(汗)。
 この犬はウルフ(1レベル・モンスター)のデータを流用してるから、向こうが1ゾロでも振らない限り抵抗できんな。

ダルス (コロコロ)こんなもんぢゃが……。
GM こっちの精神抵抗値はたった8しかないんだよ。そんなもん、抵抗できるか(笑)。

 というわけで、作戦失敗(笑)。ダルスにしてやられるとは……しくしく。

フィップ 起きても動けないように、ロープで縛っておこう。で、他に隠し扉とかはない?
GM ん? 隠し扉じゃないが、入ってきた扉と同じ壁に別の入り口がある。入ってきた向きを正面とすれば、右側だな。こっちの入り口には扉がついていない。幅は1人分だ。
ダルス なるほど、これが本来の通路と繋がっておるんぢゃな。
フィップ 行ってみる?
ヴァトルダー ちらっとだけ見てこよう。

 ふふふふ、今度こそ。この通路には落とし穴があるのだ。もちろんこの連中相手に、ただの落とし穴を仕掛けるわけはない。
 穴の上には、シェードを被せてあるのだ。気付かずに突っ込んだら、ちょっとばかし痛い目に遭うぜい。

GM じゃあ、そこで先頭、冒険者+知力でロールして。……成功したか。ヴァトルダーは、通路の先の視界が途切れているのに気付いた。
ヴァトルダー へ?
GM つまり、ライトの光が届く範囲なのに、なぜか真っ暗な部分があるってことだ。
フィップ ライトの光が届いてるってことは、シェードじゃないよねぇ。ダークネスだと相殺するし……。

 はあっ、またしてもしくじった(涙)。
 シェード(闇の精霊)は、古代語魔法<ライト>の効果範囲だと一方的に消えてしまうのである。この『落とし穴の上にシェード』作戦は、ライトのコモン・ルーンを持っているような連中には役に立たないってことか。

GM ──と、暗闇は突然かき消えた。
フィップ シェードだったんだ、や〜いや〜い(笑)。
GM (うるさい)足元には、落とし穴がぽっかり口を開けている。
ダルス なるほど、普通の通路を進んでいたらこういうのが待っていたわけぢゃな。
ヴァトルダー 何もなかったな。さ、引き返そう。

 さっきから一方的に負けっぱなしだな。何か悔しいぞ。次の『仕掛け』までクリアされたら、シナリオが終わってしまうじゃないか。
 パーティは犬がいた部屋へ引き返し、右の壁の扉から未知の通路へ足を踏み入れた。

GM 道は20メートルほど続いた後、右へ折れ曲がっている。そのまままっすぐ行くと明かりが見えてきた。
ヴァトルダー やっとゴブリンのお出ましか。よし、飛び込むぜ。
GM ではご対面だ。豪勢な椅子に座ったモンスターがこちらを見ているぞ。その左横には開放された通路も見える。
フィップ あ、何か気になる。
GM (無視して)モンスターは、君らを見るなりけたたましい笑い声を上げた。その姿は紛れもなくゴブリンだ。ただ、滲み出る威圧感が何か普通と違うな〜、という感じがする。
ヴァトルダー ふっ、所詮はゴブリンだ。構わず突っ込む!
GM ちったぁ話を聞いてやらんかい、ボスなんだからさ(苦笑)。
ヴァトルダー よかろう、話せ(尊大)。
GM(ゴブリン) おや? その格好は……村の人間ではないな。まあいい。お陰で俺様も、久しぶりに豪勢な食事ができるというもんだ……クックックッ。
ヴァトルダー ……終わりか?
GM ……うむ。
ヴァトルダー よっしゃ、戦闘だ!(←まるで聞く気なし)

 予定通りに進んでいれば、「途中にいた犬はどうした? まさか殺したのか?」と聞いたりするつもりだったけどな。もう意味のない台詞だし(笑)。
 まあいいさ、本番はこれからよ。ゴブリンは開放された通路を背に、一行と対峙する。

ヴァトルダー 17と行って攻撃!
GM ああ、それはかわした。
ヴァトルダー な、なにぃ?! ゴブリンじゃね〜のか?
GM たわけ、誰がただのゴブリンをボスに据えるか(笑)。

 まずこれが1つ目。ゴブリンはゴブリンでも、その昔、古代王国の魔術師が実験によって生み出したスーパー・ゴブリンなのである。モンスター・レベルにして7ないし8レベル相当、おまけにシャーマン技能7レベルまでついているのだ。そういうモンスターをゴブリンと呼ぶのか? という疑問には、丁重に無視を決め込ませてもらおう(笑)。
 もっとも今回の戦闘はまだメインじゃないので、GMも手を抜くつもりでいる(精霊魔法を使わずにおくのだ)。
 当初は傍観を決め込んでいたダルスとフィップ──ということは当然、NPCも傍観状態だが(笑)──も、加勢を試みるが……。

ダルス むう、精神力がない(笑)。
GM そういや、最悪のタイミングで扉が開いたんだったな(笑)。

 というわけでダルスは役立たず、結局ヴァトルダーとフィップが直接戦闘し、傷を負ったらリーハが回復、という流れで戦闘は進む。いくら強いとはいえ、絶対的な戦力差で劣るゴブリンは徐々に削られていった。

GM (そろそろ潮時かな)では次のターン、ゴブリンは背を向けて、後ろの通路から逃げ出すぞ。
フィップ ああっ、やっぱり〜。
GM (再び無視して)どうするの? 追いかける?
フィップ そりゃまあ。
GM ふむ。一番早いのは、やっぱりフィップだろうな。では、フィップがあと少しで通路へ辿り着くというところで、上から石の壁が降ってきた。かわせたかどうか、冒険者+敏捷度でロール。目標値は12(……げ、なんでこんなに低く設定してあるんだ?)。
フィップ 楽々成功。
GM だろうな(苦笑)。さて、ほぼ同時に君たちの入ってきた通路の方も、同じように石の壁で塞がれてしまったぞ。
フィップ ご、ゴブリンの分際で生意気な。
ダルス 他に出口はないのか?
GM ない。で、そんな君らに、外から「うはははは! 押しつぶされて死ぬがよい!」という声が浴びせかけられて──さらに追い打ちをかけるように、今度は天井が鈍い音と共にゆっくり下がってきた。
ヴァトルダー くっそ〜、あのゴブリンが〜!
GM ではみんな、冒険者+知力で振ってもらおうか。一番目の大きかった人は誰?
フィップ は〜い。
GM じゃあフィップは、入ってきた方の石の壁が完全には落ちきっていないことに気付いた。何かに引っかかっているようで、10センチばかし隙間がある。ここを重点的に攻めれば……。
ヴァトルダー (皆の熱い視線を受けて)……え? 俺?
フィップ 他に誰がいるの(笑)。

 確か、さっきもこんなシーンがあったな(笑)。

ヴァトルダー それじゃ、グレートソードでもって壁をガンガン叩く。
GM ではダメージを決めてくれ。ちなみに、あと18ラウンド(3分)ぐらいで天井が落ちてきそうだから、それまでに壁を破壊できないと知らないよ(笑)。
ヴァトルダー な、なにぃ〜?!

 さすがにこれにはビビッたか、必死で十八番の破壊活動に勤しむヴァトルダー。その甲斐あってか、彼らはどうにかこうにか脱出に成功した。

フィップ 天井が落ちきった後、しばらく待つけど?
GM 天井が上がる気配も、ゴブリンが帰ってきた気配もないね。
フィップ (ふと思いついて)そうだ、檻の部屋にあったコボルトの骨を拾って帰ろうよ。
ダルス は?
フィップ 「倒した魔物の骨です」って、村の人たちに渡すの(笑)。
ヴァトルダー おお、名案じゃないか(笑)。

 こら待てお前ら、詐欺を働く気か(苦笑)。
 GMに阻止する権限のあろうはずがなく、ご丁寧にもちょうど一体分になるように骨を集めて、ヴァトルダー達は意気揚々と村へ引き上げていった。……そっちがそう来るなら、こっちにも考えがあるわい。

GM では村に着いた。既に日は傾いているぞ。村人からは感謝の声がかけられて、その夜は心尽くしのもてなしを受けることとなった。
ヴァトルダー うむ。
GM で、夜が更けた後に例の雄叫びが聞こえてくるわけだな(にやっ)。
ヴァトルダー が、が〜ん。
GM(村長) どういうことじゃ、魔物は退治したんじゃなかったのか?! あの骨は何だったんじゃっ?!
フィップ あの遺跡にいたやつは確かに退治しました。それ以外の所にいたやつは知りませんが(←嘘つき)。
GM(村長) ええい、とにかくもう一度行ってもらうぞ。骨ではない、ちゃんと倒した証拠を持って帰ってくるんじゃ。そうでないと報酬はなしじゃぞ。
ヴァトルダー くそ〜、2千ガメルごときで偉そうに。このまま見捨てて帰ろうか(笑)。

 とはいえ、一度は乗りかかった船。ここで帰るのも後味が悪いと見えて、一行は翌朝、再度遺跡へ潜り込むのであった。
 以下、後編!


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